- 「白い大型パン」という意味。数%のライ麦粉を使う事もあるが、小麦粉主体で作られる。小麦が多く栽培される南ドイツで作られていたが、今はドイツ全体に広まっている。クラストは直焼きパン特有のクラスティな食感であるが、内相はドイツパンらしく、比較的丸目均一な内相で、軟らかい。
- ドイツ南西部で作られていたパンで、「魂」という意味を持つ。本来、万霊祭で作られたパンで、一つの生地を分かち合い、すくい取って取り分けて食べていた。小麦粉と食塩、パン酵母と水だけで作られ、非常に加水量が多く、軟らかい生地を、手ですくい取って、高温のオーブンで焼成する。トッピングでは、キャラウェイシード、粗塩が基本。
- ドイツでは小型のパンをゼンメル、ヴェッケン、ブロートヒェンと呼ぶ。ローゼンはバラを意味し、南ドイツではバラの形をした小型パンをローゼンヴェッケンと呼ぶ。小麦粉を主体としたシンプルな配合で、一部ライ麦粉サワー種を使用する場合もある。
- ドイツではベッカライのシンボルで、語源はラテン語の「腕」を意味する。成形は生地をひも状にし、腕を組んだように結び合わせるなど独特。小麦粉、イースト、塩、水から作られ、焼く前にラウゲン液(カセイソーダ液)に漬けて焼く、このため表面が赤褐色をしている。トッピングは岩塩の粗塩(ブレーツェルザルツ)が一般的。
- ミッシュとは混ぜるという意味で、ドイツのパンの消費のうち、およそ3割を占め、最も多い。小麦粉とライ麦粉を同量配合したパンの総称をいう。白パンよりもライ麦粉の使用量が多いため、ライ麦粉サワー種の使用量も増える。このため、ドイツパン特有の酸味を呈する。ライ麦粉を多く使ったパンは、小麦粉パンと比べてずっしりと重たいため、スライスは薄く切る。一般に約8mmが標準的。
- 「ミッシュブロート」が小麦粉とライ麦粉の混合比率が同割りに対して、小麦粉の比率が多い(60~80%)大型のパンをいう。小麦粉が多くなるため、ボリュームが出易く、内相のキメも粗くなり、酸味は穏やかになる。形はなまこ型が多い。
- ドイツ南部のシュバルツバルト地方の伝統的なパンで、黒い森を模して作られた。バイツェンミッシュブロートのタイプの生地を、焼成直前に生地表面に糖蜜を塗って焼き上げる。
- ドイツ北部のベルリン近郊で作られた丸型(なまこ型)の大型パン。ライ麦粉の比率の多いロッゲンミッシュブロートの一種で、表面にまぶされたライ麦粉と独特のひび割れが特徴。このひび割れは成形直後に表面にライ麦粉をまぶし、室温で放置することで形成される。クラムは目が詰まっていてずっしりと重たい。
- ブロートヒェンは小型のパンの総称であり、ロッゲンはライ麦のことをいう。このパンはライ麦粉の比率が多い小型のパンという事になるが、小型のパンにおいてライ麦粉の比率は50%が一般的であり、大型パンと比べてライ麦比率が少なくなっている。
- オーストリアとイタリアの国境に近いチロル地方の都市の名前のついたパンで、ドイツの影響を受けていた時代から作られていたと言われている。ライ麦粉の比率が50%以上で、加水量が非常に多い柔らかな生地を、すくい上げて成形する。バラエティでは生地にクローバー(香草)やキャラウェイシードなどが練り込まれる。
- フォルコーンとは「全部」と「穀物」という意味で、ライ麦全粒粉を使用した場合、ロッゲンフォルコーンブロートと呼ばれる。これに類似したパンではロッゲンシュロートブロートがあり、フォルコーンブロートはこのバラエティにあたり、このパンと同様に、一般に生地は型に入れて焼成される。(シュロートとは粗挽きの粉という意味。)さらに、大豆、あわ、ひえ、大豆など様々な穀物が練り込まれたものもある。
- ドイツでは、クリスマス前のアドベント(イブまでの約4週間)に作る習わしがあり、11月下旬ごろから本格的に作られ始める。生地は牛乳、バター、砂糖、マジパン、ラム酒に漬け込まれたドライフルーツやナッツなどが練りこまれ、焼き上がった後には表面に砂糖がまぶされる。一般的に、このパンはクリスマスを待ちながら少しずつスライスして食べると言われているが、昨今では様々である。
- ベルリン地方に伝わる揚げ菓子。名前の意味は大きな鍋(プファン)で揚げた菓子(クーへン)。1950年代にドイツのパン職人が、戦地のオーブンのない環境で兵士にパンを提供するために、油で揚げたのが始まりだと言われ、ドーナツの原型といわれている。さらに、パン生地はフライ後にブルーベリージャムなどを注入し、粉糖をかけて仕上げるのが一般的。