世界的には乳酸菌活性が高い発酵種が多く、発酵種の多くはサワー種(SourDough)と総称されています。天然酵母種(発酵種)の特徴は、酵母や乳酸菌の採取源や培養に用いるものによって異なります。例えば、ホップス種、酒種、レーズン発酵種、リンゴ種などがあります。また、伝統的な発酵種に関してはパネトーネ種、サンフランシスコサワー種などがあります。このように具体的な発酵種を表示した方が“天然酵母種”より分かりやすい表示になります。
穀物の粉(主にライ麦粉あるいは小麦粉)と水を混ぜて放置すると、乳酸菌の働きでパン生地が酸味を帯びてきます。ライ麦パンの製造する上でライサワー(写真)など、パンの風味改良、生地の改善、保存性の向上など効果を発揮します。
小麦粉やライ麦粉といったパン種の原料および気候風土によって生育する菌が異なり、世界中にさまざまなサワー種(例えば、イタリアのパネトーネ種(写真)、アメリカのサンフランシスコサワーなど)があります。
ホップス種は現在のパン酵母が普及する昭和初期以前まで、酒種と並びパンの発酵に用いられてきました。ホップの煮汁にじゃがいも、小麦粉、りんごなどを加えて種継ぎを行ってホップス種が作られます。ホップに含まれる抗菌作用成分がホップス種の培養中に製パンに適さない微生物の繁殖を防ぎます。
ホップス種を用いたパンの特徴は、ホップ特有の苦味といわゆるイースト臭の無い淡白な香りを持ちます。
酒種とは麹、米、水を原料として、米のでんぷんを麹のアミラーゼに分解させて、その粥状の糖液に空気中の野生酵母を取り込み、ご飯、麹、水を補充しながら酵母を培養します。
酒種あんパンなどの菓子パンに用いられて広まり、酒種を使ったパンの特徴としては、皮は薄くて、ほんのりと麹の香り、そして、しっとりした食感となります。
果実の皮に付着している酵母を利用したもので伝統的なパンに利用されています。果実の糖分が分解され発酵液を用います。一般にはぶどう、リンゴなどが良く利用されます。
ルヴァン(仏語:levain)はフランス語で“発酵種”という意味。主に小麦粉、ライ麦粉、水を合わせて作った発酵種で、乳酸菌と酵母を生育させて作られるパン種。
フランスでは自然界に存在する野生酵母を培養した種(ルヴァン種)によって作られる伝統的な製法によるパンを総称します。
フランスではルヴァン種を使ったパンに、パン・オ・ルヴァンの特徴としては、独特の酸味、モチモチした食感、皮(クラスト)が厚くなります。