フォカッチャ
 発祥は北部のジェノヴァ地方。ジェノヴァで古代ローマ時代から作られてきたと言われ、今日のピザの原型と言われるフラットブレッド。名前の意味は「火で焼いたもの」。具材をのせて焼くことはないが、ローズマリーやオリーブ、ドライトマトなどで風味付けされたものもある。
チャバタ
 発祥は北部のポレシーネ地方アドリア。名前の意味は「スリッパ」と言われ、平らな形で、粗い内相のパン。非常に多くの水を加えて作る。イタリアではこのパンに、塩を混ぜたオリーブオイルをつけて食べられるのが一般的である。
グリッシーニ
 発祥は北西部のピエモンテ地方トリノ。細長いスティック状の食事パンで、塩味主体のクラッカーのような食感。グリッシーニは17世紀に生まれ、ナポレオンは「小さなトリノの棒」と呼んで好んで食べたと言われている。
ロゼッタ
 バラ(ローズ)という名前のように、花の形をした食事パン。配合はシンプルで、小麦粉、パン酵母、食塩、水だけで作られる。製品のクラムには大きな空洞ができやすく、焼き立ては軽い食感が楽しめる。
パネトーネ
 ミラノ発祥の発酵菓子で、クリスマスの贈り物として作られていたが、現在では季節を問わず販売されている。砂糖、卵、バターを多く使い、さらにレーズンや柑橘系の果皮などが練り込まれ、発酵にはパン酵母ではなく、この地域で継がれた自家製酵母種(パネトーネ種)が用いられる。この発酵種を用いると、長期保存が可能。トッピングにはアラレ糖の他に、グラス(アーモンド、粉糖、卵白)かけされたものもある。
パンドーロ
 パネトーネと同様、クリスマスの発酵菓子。配合も砂糖、卵、油脂を多く使い、星形のケースに入れて焼成し、上下を反転させ、粉糖などで仕上げる。軟らかいクラムで非常に口溶けが良い。小型のものは「パンドリーナ」と呼ばれる。
コロンバ
 パンドーロの生地にオレンジピールを練り込んで、鳩の形をかたどった紙型に入れ、アラレ糖やグラス生地をトッピングして焼き上げる。正式名称は「コロンバ・パスクワーレ」といい、コロンバは「鳩」、パスクは「復活祭」の意味。