現代社会において食品が安心安全であることは必須です。人の健康を損なう物が混入することはあってはならないことで、消費者に食品安全上の危害が及ぶだけでなく、製パンをはじめとする食品製造業者にとって、その存在、継続に極めて重篤な結果をもたらすことがあります。このため、製造現場では常に、製造施設の食品安全管理体制の維持・強化を推進しています。「AIB」はそのお手伝いをしています。
「AIB」とは、一般社団法人日本パン技術研究所が実施している「食品が汚染される可能性を予防的に排除するシステム」の呼称です。現場を重視した検査を行い、現場での養育訓練も行います。
「AIB」はまた、American Institute of Baking(米国製パン研究所)の頭文字で、アメリカ国内の製パンや製粉メーカーの技術者育成機関として1919年から技術者育成機関としての活動を開始しています。その後、製パン、製粉メーカーより食品安全の対策も求められるようになり、1945年フードセーフティ部を設立し、製造現場の監査活動を開始しました。
日本では一般社団法人日本パン技術研究所がAIBとライセンス契約を結び2001年より、監査が実施されております。
世界では1年に約10000件、日本では1年に約400件での利用実績があります。利用業種は製パン、製菓、製粉、精米、食肉加工、弁当、飲料、乳製品、食品添加物、レストラン、リテイルベーカリー、包装資材製造、流通倉庫など多岐にわたります。
「AIB」では、
PP=Prerequisite Program(前提条件プログラム)を重点的に現場の検査を実施します。世界の様々な法規やガイドラインを基にして作成したAIB国際検査統合基準に則って検査は進められます。
本システムの要求事項が記載されています。次に掲げる5つのカテゴリーから構成されています。
上記の基準(要求事項)を基に、製造現場内を徹底的に検査し、問題を見つけ出し、改善を進めるお手伝いをするのが「AIB」です。
また、一般的な食品製造施設向けの「前提条件と食品安全プログラム」、リテイルベーカリーやレストラン向けの「小規模製造施設」、「食品接触面用包装資材」、「飲料製造施設」、「流通倉庫」など、さまざまな業種に対応した統合基準があります。
施設の現場には今起こっている問題(顕在化した問題)やまだ発見されていない問題(潜在的な問題)が存在する可能性があります。それらの問題を特定し、問題改善や食品安全レベルの向上に導くために、経験豊富な監査員が隅々まで詳細に現場を検査します。また、完成度の高い食品安全対策プログラムが存在しても適切に実行されていなければ、危害の予防措置は十分ではありません。「AIB」は、現場中心の検査を行い、食品安全上の危害や危害の可能性を探って改善策を提案します。
How(手順)だけではなくWhy(目的)を理解することで、従業員のプログラム、手順の理解度や食品安全活動に対する意識が向上し、施設の食品安全レベルは向上していきます。実際の検査では、みなさんと一緒に現場を回りながら、問題が起きやすいポイントや管理のポイントを具体的に説明します。
安心安全な食品を消費者に届けるためには、自分の施設だけでなく、原料や包装資材の供給業者、また流通倉庫などのサプライチェーンの各段階で食品安全システムを確立する必要があります。本システムは、各サプライチェーンに対応しているので、取引している供給業者の管理にも活用できます。
また、AIBフードセーフティ監査システムでは、工場のメンバーがチームを組んで自主的な検査を実施することを要求しています。
この自主検査によって施設における食品への危害を発見し、改善計画を立て、是正処置を執り行い危害を除去、または低減するサイクルを繰り返すことで、食品安全レベルの維持・向上を図ることができます。
一般社団法人日本パン技術研究所 (JIB) フードセーフティ部 ホームページ
※各種AIB国際検査統合基準(PDF版)や情報はホームページからダウンロードできます。